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 大蓮寺「ともいき堂」
 
撮影者 SpaceClip岡田大次郎
  竣工:2019.09 / 所在地:大阪市天王寺区下寺町
「ともいき堂」は、大阪市内谷町9丁目に1550年に建立された浄土宗寺院「大蓮寺」の墓地内に建っています。昭和47年に納骨堂として建立されました。2300uの墓域の背後には、生玉神社の森と石垣が横たわっており、「家」とは関係なく個人ではいることができる墓「自然」(じねん)も平成14年に建立しています。この「自然」はお墓の新しい形を提示した先駆けでしたが、その後さらに社会の情勢は変わって少子高齢化が進んで家族の形態も変わり、お葬式やお墓の形態も変わりつつあります。この「ともいき堂」を今回、新しい形の納骨堂としてリニューアルしました。家族だけの少人数のお葬式に対応し、お墓ではなく永代供養の納骨壇に納骨することにより、墓守する子孫がいない方でも安心して浄土に行けるようになっています。単に器を作るだけでなく、お寺として宗派を問わず、旅立つ方のお世話ができるシステムを構築されています。
 
 大蓮寺永代供養墓「共命」(ぐみょう)

撮影 村岡章年
竣工:2002.10 / 所在地:大阪市天王寺区下寺町
■主要用途    墓
■構造・構法    RC造+石造
■建築面積    22.80u(6.90坪)
「自然」と同じく大阪・大蓮寺の墓域に建つ集合墓。個人で契約し個人で弔われる「自然」とは異なり、「家」の墓を集合させたものである。しかし、この墓に入ることができるのは後継ぎのいない「家」、つまりこの先、墓を守るべき近親者が途絶えてしまう「家」だけである。これまで後継ぎをなくした家の墓は、やがて無縁墓となり、朽ちるにまかせた状態で墓域の片隅に放置されることが多かった。「共命」はそうした家墓を集合させ、大蓮寺によって永代供養をするために建立された。
墓域のほぼ中央、8m×4.5mの敷地に、緩やかな円弧を描いて、47区画の納骨スペースが並んでいる。墓石の背後、「自然」と平行に配置された天然スレートの壁面の内部には、先祖の遺骨を合祀する空間が設けられている。壁面の中央に建つ石柱は、さまざまな色彩とテクスチャーを持つ石板を積み上げたもので、間に挟み込まれた6枚のステンレスの無垢板は、「南無阿弥陀仏」の6文字を象徴している。

 
 大蓮寺生前個人墓「自然」(じねん)

撮影 村岡章年
竣工:2002.07 / 所在地:大阪市天王寺区下寺町
■主要用途    墓
■構造・構法    RC造
■建築面積    39.15u(11.84坪)
■延床面積    42.30u(12.80坪)
「自然」の建つ大蓮寺は、大阪中心部にある1550年に建立された浄土宗寺院で、2300uの墓域の背後には、生玉神社の森と石垣が横たわっている。「自然」は従来の日本の墓とは異なるシステムで考えられ、つくられている。日本では、墓は「家」のものであり、個人はそれぞれの属する「家」の墓に先祖代々の遺骨と一緒に弔われるのが一般的である。それに対して「自然」は、「家」とは関係なく個人ではいる墓であること、生前に自らの意思で申し込むことが基本になっている。大蓮寺では、「自然」の契約者同士が生前の交流を重ねる機会を用意するとともに、亡くなった後は永代にわたり供養をすることになっている。
高さ3m、幅18mのガラスの壁には、インド・ブッダガヤ郊外にある菩提樹の葉脈がエッチングされており、彼岸と此岸を結ぶ結界の意味を持つ。遺骨はガラスの壁の背後、床に埋め込まれた納骨スペースに収められる。1区画18cm×18cm、400区画あり、底部には玉砂利がひかれ、そこから大地へと還る。それぞれの区画を覆う大理石には、ガラス工芸家のオブジェが取り付けられている。エッチングされたガラスを通して入ってくる光は、さまざまに変化しながら、菩提樹の葉の上にある命の雫のようにガラス玉を煌かせ、一瞬の浄土を出現させる。

 
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